日本音楽学会の主宰するオンライン・ジャーナル MSJ Web Plusは、会員同士の情報交換のみならず、音楽ファンや音楽に興味を持つみなさん、音楽においていまどんなことが話題となっているのかということを知りたいみなさんのための情報発信と交流の場です。
現在、1000名を超える会員数を誇る日本音楽学会は、その名の通り、日本における音楽学者、音楽研究者、そして広く音楽家たちの集まる研究組織であり、これまで学会誌である『音楽学』や会員間の情報交換のための会報、支部通信、SNSなどを発行し、またウェブ・サイトでも情報の発信を行ってきました。研究領域は民族音楽、日本音楽、西洋音楽、ポピュラー音楽、音楽美学、音楽理論等々と多岐にわたっています。
しかしながら、現在なにが音楽全般において話題や問題となっているのか、どのような研究がさかんに行われているのか、どのような研究者や音楽家がいて、なにを研究し実践(演奏)しているのか、どんな書物やメディア(パッケージ化されたものや配信されるもの)が発行されて、どこが面白いのかということを、研究者集団のなかだけではなく、もう少し広幅広いみなさんに知ってもらい、音楽に関する体験や単なる知識に留まらず、その体験や知識が孕んでいる面白さ、音楽について知ることの楽しみやその方法、そしてもちろん音楽すること自体の歓びを分かち合いたいと思いました。
そのために、このオンライン・ジャーナルが発行されることになりました。ここでは、学会員の現在の関心のありかや研究の実際の現場、現在興味を持って取り組んでいること、その内容について(あくまで専門的な姿勢は崩さないまま)、肩のこらない口調で語ってもらいます。単に音楽を聴いたり実践したりして楽しむだけではなく、その背後にどのような知的な層が隠れているのか、あるいは普段あまり自分から進んでは聴いたり演奏したりしない音楽が、どのような面白さをはらんでいるのか、そうしたことを発見して、ちょっと嬉しくなる、それは研究者にもそうでない音楽愛好家にも共通する体験です。そうした体験ができること、それがこのオンライン・ジャーナルの大きな目的なのです。
内容は多岐にわたっています(わたることになるはずです!)。さまざまな時代や地域や分野の音楽に取り組んでいるそれぞれの研究者の研究ノートのようなものやエッセイ風の書き物、最近話題となっている書物(音楽関係に限りません)、あるいは読んだばかりの研究書、聴いたばかりの音楽(ライヴのみならずCDや配信等々)、あるいは映像や映画についての話題、そしてさまざまな(国際)学会の体験レポート等々が、サイトのなかに散らばっています。ぜひ通覧したり、あるいは適当に検索してみてください。
それぞれに研究者がどんな(変な!?)ひとで、いまなにに関心を持っているのかは誰も詳しく知りません。そのため、このオンライン・ジャーナルは、そうしたことについての情報交換の場にもなっています。共通の関心がありそうな会員とは、どこかで連絡を取ってみてもよいでしょう。オンライン・ジャーナルはそうしたひとの輪の広がりを仲介する役割も果たしていきたいと思っています。研究や交流の輪を広げること、それは誰にとっても大きな歓びとなるはずです。
このマガジンは基本的に年3回ほど大きく更新される予定ですが、それ以外にも随時コンテンツの更新を行っていく予定です。ちょくちょく立ち寄っていただくと、思わぬ出逢いがあることでしょう。よろしくお願いいたします。
2025年3月20日 長木誠司記